先月(5月利用分)で国の補助が終了し値上がりする中、期間限定(2024年8月からの3ヶ月分)ながら、補助の再開が突然発表された、そんな電気代ですが。
一昨年(2022年)に高騰の原因となった燃料費調整単価は、その後どうなっているのでしょうか。
以前の記事「電気料金プランを変更しました ~燃料費調整単価のお話~」で、燃料費調整単価の上昇を考えて、電気料金プランを自由料金プランから従来のいわゆる規制料金プランに変更したことをお話しました。
私の住む関西電力エリアでは、国の補助が終了したということ以外、その後あまり変わりが無かったのですが、全国的にみると大きな変化があったので、遅ればせながら、その辺の事情と最近の状況について調べてみましたので、できるだけ分かりやすくお伝えしたいと思います。
(2024.10.8)最近、電気料金の値上げのニュースがあったけど、何か関係するの?
⇒ 国による電気・ガス料金支援(酷暑乗り切り緊急支援)が縮小、終了することによる値上げです。具体的には、8,9,10月使用分に対する支援が、10月(11月請求)分から縮小、その後終了予定です。
ですので、基本的な構造は、記事本文の内容のとおりで、変わりありません。
電気料金の算定方法や燃料費調整単価とはなんぞや、と言うことについては、こちらの過去記事「電気料金プランを変更しました ~燃料費調整単価のお話~」を参照ください。
燃料費調整単価の推移
下の図は、東京電力の燃料費調整単価(家庭用規制料金プランの場合)の推移です。
2023年1月までは5.13円と同じ額で推移していますが、これは前の記事で説明した通り、規制料金プランに設けられている上限に達したため、上限に張り付いている状況です。
2023年2月に大きく下落しているのは、国の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」による値引きのためです。
さらに、2023年6月にも大きく下落しています。(ここから折れ線の色がオレンジになってますが)
これは、この時の電気料金の値上げにあわせて、燃料費調整単価の算定基準も見直されたからです。
次の項で詳しく説明します。
燃料費調整単価算定基準の見直し
2023年6月に大手電力7社の料金改定が行われました。
料金改定(値上げ)の背景などについては、資源エネルギー庁が公表している記事(コラム)「2023年6月の電気料金、なぜ値上がりするの?いくらになるの?」にもあるように、燃料価格の大幅な高騰です。
この記事の内容自体は、今回の値上げも国がちゃんとチェックしてますよ、と言うのが主眼ですが、ここでも、規制料金プランの燃料費調整単価が上限に達しているため、自由料金プランよりも安くなっていることが指摘されています。結果、規制料金プランの料金が抑えられ、その分を電力会社負担し赤字に陥る原因となっていると、記事では指摘しています。
(このような事情があるので、私は規制料金プランに鞍替えしたわけですが)
そして、こうした状況を解消するために値上げが必要だったと。
では、その電気料金値上げの中で、燃料長製品単価の算定基準はどのように見直されたか。 Selectra(セレクトラ・ジャパン株式会社)さんが掲載されている図がとても分かりやすかったので、引用させていただきました。
以前の記事でも説明しましたように、燃料費調整単価は、平均燃料価格と基準燃料価格によって算出され、規制料金プランでは、上限価格も決められています。
上の図は、東京電力の例ですが、ご覧のように基準燃料価格、上限価格ともに大幅にアップされており、燃料単価が少々上昇しても簡単には上限に達しないような基準に改められました。
事実、この改定以降、東京電力では燃料費調整単価が上限に達することはなく、自由料金プランも規制料金プランも燃料費調整単価については、差が無くなりました。
結局
つまり、現状では、燃料費調整単価が自由料金プランよりも安いという規制料金プランの優位性が無くなりました。
単純に、自分ち(家)の電気使用量をもとに安い電力会社やプランを選べば良い、という状況になっています。本来の電力自由化の趣旨に合うということではありますが。
ただし、すべての大手電力会社で同じ状況というわけではありません。
関西電力の場合
関西電力エリアにおいては、東京電力など多くの地域とは事情が異なります。
(おそらく九州電力も)
下の図は、関西電力の燃料費調整単価(家庭用規制料金プランの場合)の推移です。
一見すると、大きく変化しているように見えますが、これは国による2024年6月までの「電気・ガス価格激変緩和対策事業」及び9月からの「電気・ガス料金支援(酷暑乗り切り緊急支援)」による値引きを含んだ単価です。
この値引きを差し引くと、すべての月で2.24円/kWh、つまり上限に張り付いたままです。
これは、関西電力が東京電力のような改定を行わなかったためです。
つまり、関西電力においては、自由料金プランよりも規制料金プランの方が燃料費調整単価が安いという状況が続いています。
例えば、2024年6月分を見て見ると、国の激変緩和対策を含めて、自由料金プランが2.52円/kWhに対して、規制料金プランでは0.44円/kWhです。(関西電力 過去の燃料費調整単価)
もちろんこれは、燃料調整単価、燃料費調整額だけの話ですので、電気料金全体でみるとどうなるかはまた別の話で、電気の使用量によっても、有利不利は変わってくると思います。
また、九州電力についても、関西電力と同じ状況のようです。
今後の選択
下の図は、新電力ネット(一般社団法人エネルギ―情報センター)に掲載されている天然ガス、石炭、原油の価格の推移です。
これを見ると、2022年をピークに落ち着きを見せているように見えます。
(もっともこの先何があるか分かりませんし、為替もどのように動くか、油断はできませんが)
ですので、この先も、関西電力、九州電力を除く、多くの電力会社では、燃料調整費単価が規制料金プランの上限に達することは無さそうに思えます。
つまり、規制料金プランを選ぶメリットはあまり無いということです。
ですが、私の住む関西電力エリアでは、依然として、規制料金プランの方が自由料金プランよりも燃料費調整単価の部分についてみれば安い、という状態が続いています。
ただし、下の図は関西電力のいわゆる自由料金プランの燃料費調整単価の推移ですが、上記の規制料金プランの動きと比較すると(金額のスケールが違うので分かりにくいかも知れませんが)、料金プランによる燃料費調整単価の違いは以前のような極端な差はない状態で推移しています。
さらに、ここまでの話は、あくまで燃料費調整単価の部分についてのみの話なので、電気料金全体でみると、自由電力の中で会社を選べば、規制料金よりも安いところはありそうです。
なのですが、この先また燃料費が高騰してきた場合に、やきもきしたり、電力会社の変更や手続きをしたりするのが面倒なので、引き続きしばらくはこのまま規制料金プラン(従量電灯A)で様子をみようと思います。
あくまで、関西電力エリアに住む、「私の選択」、ですが。
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