預金金利の高い銀行を検索すると名前の上がってくる「あおぞら銀行BANK支店」ですが、実際に口座を開設しましたので、メリットやデメリット、注意点、使い勝手などをお伝えしたいと思います。
あおぞら銀行BANK支店とは
「あおぞら銀行」は、前身が長期信用銀行3行の一つ「日本債券信用銀行」(通称:日債銀)で、名前ぐらいは聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。1990年代のバブル崩壊に伴って経営破綻に陥り、特別公的管理下に置かれた後、「あおぞら銀行」に行名変更し、普通銀行として再スタートしました。
そんな「あおぞら銀行」ですが、普通の有人店舗もありますが、BANK○○支店という、店舗や窓口を持たないインターネット上の支店があります。
これらのいわゆるBANK支店が、預金金利の面など有利になっています。
ちなみに、似た名前の銀行で、「GMOあおぞらネット銀行」というのがありますが、関連会社ではありますが、別の銀行ですので、注意してください。
こちらも「ハビト支店口座」という特定の口座で普通預金100万円以下に限って、0.4%(2025年3月25日から0.5%に改訂されます)という高い金利です。
100万円以下で利用するなら高金利ですが、手数料優遇の条件があおぞら銀行BANK支店同様厳しかったりするので、使い勝手はどうかなという印象です。
メリット
普通預金金利が0.35%
あおぞら銀行BANK支店の最大のメリットは、普通預金金利0.35%など、金利の高さです。
ちなみに、BANK支店ではなく、有人店舗で口座を開設すると、普通預金金利は0.1%となってしまいます。
他行の普通預金でも、例えば、2025年3月からは、SBI新生銀行が0.4%、auじぶん銀行が0.41%になる予定です。ですが、何らかの条件をクリアしないければこの金利にはなりません。
この点、あおぞら銀行BANK支店の場合、ただ口座を開設して預けるだけでこの金利が得られるというのは、メリットと言えます。
2025年4月1日から、100万円までは0.5%、100万円を超える部分は0.35%という形で、少しだけ金利をアップするようです。(公式サイトのお知らせ)
100万円以下に限れば、条件なしで得られる金利としては最高水準です。ちなみに島根銀行スマートフォン支店は100万円を超えても0.5%ですが。
ゆうちょ銀行ATMが無料
ゆうちょ銀行のATMが入金、出金とも無料で利用できます。しかも、回数制限なしです。
提携ATMの利用が無料という銀行は他にもありますが、回数制限を設けている銀行が多い中で、この点も結構大きなメリットと言えるでしょう。
ただし、時間制限があり、8:00~21:00までの利用となります。さらに、ゆうちょ銀行のATM自体が18:00までとか19:00までとか時間制限を設けている場合もありますので、注意が必要です。
なお、入金だけなら、セブン銀行のATMでも無料で利用できます。ただし、同じく8:00~21:00という時間制限があり、出金には手数料が必要です。
デビットカードの利用でキャッシュバック
メリットとまで言えるかどうかありますが。
口座を開設する際に、最近の銀行ではポピュラーになった、キャッシュカードとデビットカードが一体になったカードを発行してもらえます。
基本的な還元率は0.25%で、利用額に応じて還元率がアップします。現在は、2025年2月1日から2025年7月31日までの期間に、15万円以上利用すれば1%のキャッシュバックを受けることができます。
デビッドカードのポイント還元やキャッシュバックはあまり高還元のものはないのですが、半年で15万円、月にすると25,000円という条件をどうみるかです。
さらに、2025年3月31日までは、特定加盟店で利用するとキャッシュバックが1%上乗せされます。具体的には、セブンイレブンやローソン、ミニストップ、セイコーマート、デイリーヤマザキ、NewDays、スターバックス、ドトール、タリーズ、マクドナルド、すき屋、ダイソー、セリアが対象です。
スマホ用アプリが使いやすい
スマホアプリが使いやすい銀行が増えていますが、あおぞら銀行BANK支店のアプリも使いやすいです。デザインも悪くないですし、生体認証によるロックがあったり、デビットカードの利用をアプリからオンオフできたり、となかなか良いと思います。
デメリット
一方で、デメリット、注意点も色々あります。
他行あて振込手数料
他行あての振り込みは、基本的に有料です。
銀行の利用内容に応じた優遇措置もあるにはありますが、条件は厳しめです。
2025年2月特典付与分から改善がされましたが、条件自体はさほど大きく変わっていません。
具体的には
1 預金残高が500万円以上
2 デビットカードの利用が1回以上
3 投資信託残高が有ること
4 NISA口座を保有していること
5 「給与振込」による入金が10万円以上あること
という5つの場合に、それぞれで月に1回または3回(1と5の条件をクリアした場合は3回)だけ無料になるというものです。全部クリアしたら月9回です。
要件を満たした月の翌々月の振り込み手数料が優遇されるという形です。
上記のうち、投資信託残高には金額要件がありませので、オールカントリーやS&P500など適当な投資信託を買っておくのはありですが、それだけだと月に1回しか優遇は得られませんし、これらの信託報酬の安い投資信託は積み立て専用となっていますので、使い勝手は良くありません。
また、エアウォレットやことら送金と言った無料で資金の移動ができるアプリにも対応していません。
以前は、Pring(プリン)という送金アプリが使えたのですが、2024年1月に提携を終了してしまいました。
この点が、他の多くのネット銀行に比べて大きなデメリットかと思います。
例えば、auじぶん銀行は最大15回、住信SBIネット銀行は最大20回、しかも要件も比較的クリアしやすいです。
モアタイムシステムに非対応
金融機関同士の振り込みにおいて、365日24時間、即時入金に対応する「モアタイムシステム」というサービスには非対応となっています。
つまり、あおぞら銀行から他行への振り込みも、他行からあおぞら銀行あての振り込みも、平日15:00以降、土日祝日に手続きしたものは翌営業日扱いになってしまいます。
ネット銀行だけでなく、多くの銀行が「モアタイムシステム」に対応している中、非対応というのは中々に不便です。特に土日や連休を挟む場合などは注意が必要です。
もっとも、このところ、「モアタイムシステム」に対応している銀行でも不正送金防止のためということで、営業時間外の送金を制限しているところが一部ありますが。
デビットカードの基本還元率が低い
メリットのところでデビットカードについて取り上げましたが、キャンペーンの条件をクリアしたとしても1.0%ですし、さらに本来の還元率はかなり低めです。
2024年8月現在は2025年1月までの期間の利用額15万円以上で還元率が1.0%になりますが、15万円の利用が無ければ、基本還元率の0.25%です。
一般的にクレジットカードに比べてデビットカードの還元率は低い傾向にありますが、もう少し頑張ってほしいところです。
デビットカードがGoogle ウォレットに非対応
Googlウォレットにクレカなどを登録しておけば、タッチ決済に対応した支払いの場合、現物のカードを持ち歩かなくて済むのですが、あおぞら銀行のデビットカードは、「このカードではタッチ決済を設定できません」と表示され、Googleウオレットに登録することができませんでした。
どんな使い方が良いか
ざっと、あおぞら銀行BANK支店のメリット、注意点などを上げてきましたが、あおぞら銀行BANK支店は、結局どんな使い方をするのが良いのか考えてみると、近々使うかも知れないけれど、具体的に使い道まではっきりと決まっていないお金を預けておくのが良いと思います。
ただし、SBI新生銀行やauじぶん銀行の普通預金金利の方が、金利優遇を受ければ高水準になるので、これらの優遇条件をクリアできるという場合は、あおぞら銀行BANK支店にはあまりメリットはなくなります。
特にSBI新生銀行の場合、条件クリアは比較的簡単ですから。
また、他行への無料振り込みがほとんど無いに等しい、モアタイムシステムに非対応、ATMの無料取扱いに時間制限がある、ことなどを考えると、お金の出し入れややり取りが頻繁にあるような普段使いには向きません。
できれば、もう少し手数料優遇を頑張ってほしいというのが、正直なところです。そうすれば、ちょっと必要な時にすぐに引き出せる余裕資金の置き場になるのですが。
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