Wi-Fi ストリーム数は正義か?

IT / machinery

 Wi-Fiにおいてストリーム数が重要なのは間違いないです。
 同じ規格、帯域幅であれば、ストリーム数が多い方が理論上の最高速度は高速になります。

 この辺りのことは、過去記事「Wi-Fiの基礎 これだけは知っておいた方が良いこと」を参照ください。

 ただ、ストリーム数が多ければそれで良いとは言い切れません。場合(環境)によっては、ストリーム数には目をつむっても他の要素を重視した方が良い場合もあります。
 今回の記事は、私の限られた経験をもとにした一例に過ぎませんが、どんな場合にどの程度ストリーム数にこだわるべきか、その参考になればと思います。


ルーターのストリーム数

 ルーターの場合は、ストリーム数は多い方が良いと思います。
 ただし、コストとの兼ね合いもありますので、普通は4ストリームの機種で良いと思います。
 また、2.4GHz帯はほとんど使わない(プリンターくらい)ということなら、5GHz帯は4ストリーム、2.4GHz帯は2ストリームという製品でも良いと思います。

 その理由として、

1.一番の大元なので、ここでスピードダウンの要素があれば全体に影響する
2.複数の機器をつないだ場合に、速度低下が起きにくい
3.一般的にストリーム数が多い機種の方が内部処理が高速で処理待ちが少ない

 2についてですが、まず、大前提として、親機(ルーター)と子機(端末)のストリーム数が同じでないと、少ない方にあわせて通信がなされます。スマホやノートPC内蔵のWi-Fiは、ほとんどが1ストリームまたは2ストリームなので、4ストリームの速度は出ません。
 なのですが、1ストリームの子機であっても、複数の子機(PC、スマホなど)を利用する場合には、ストリーム数が多い方が、それぞれの子機と同時に通信を行うことで順番待ちの時間が減り、速度低下を防ぐことができます。(ただし、MU-MIMOという規格に対応している必要がありますが)

 また、3については、ストリーム数の多い機種の方が、内部処理が高速なものが多いと言われており、その意味でも処理時間が短く、動作のレスポンスが良いということが期待できます。

 ということで、一般的にはルーターのストリーム数は多い方が望ましいのですが、電波が届く距離ということになるとそうとも言えない、という意見もあります。

 電波法によって、Wi-Fiルーターの出力上限は10mwとなっています。
(正確には10mw/MHzなので帯域幅によって変わりますが、いずれにせよ電波が飛び過ぎないように制限されています)
 ですので、ハイパワーを謳った機種でも出力上限は同じです。つまり、電波の飛びはアンテナの形状や性能などに影響されるということになるのですが、4ストリームに分散させるよりも2ストリームの方が遠くまで届くという意見があります。
(逆に4ストリームの方が電波が良く届くという意見もあるのですが)

 この辺は、家具の配置やドアや壁の材質の影響が大きいので、単にストリーム数の問題ではなく、その機種と環境との兼ね合いで、安定性や速度がどの程度変わってくるか、実際に繋いでみないと何とも言えないところかと思います。


子機のストリーム数

 子機(端末)についても、ストリーム数が多い方が理論上の最高速度が上がるので、通信速度は高速になる、と一般的には言えます。

 ただし、これについても一概にそう言えないのが難しいところです。
 実際に私自身のPCで試してみたのですが。

 私が利用しているノートPCに内蔵されているWi-Fiは1ストリームだったので、2ストリームにしたらどうなるかと思って、USB接続のアダプターを使ってみました。
 具体的にはこの製品です。

 結果は、逆に通信速度が落ちてしまいました。
 非常に小型に作られているので、物理的なアンテナもとても小さいのでしょう、感度があまり良くないようで、PCから見えるWi-Fiの電波が、PCに内蔵のWi-Fiのときに比べてとても少なくなっていました(もともと私の部屋は他家のWi-Fiがたくさん飛び込んできます)。

 電波干渉を受けにくいという意味では良いのかも知れませんが、通信速度が下がってしまうのはうれしくありません。電波の干渉は今のところチャンネル設定で対応できているので、結果的にこのUSBアダプターはお蔵入りです。
(この製品自体に問題があるのではなく、私の狙いに沿わなかった、私の選択ミス、ということです。もっと大きなアンテナを備えたアダプターなら違ったかも知れません。)


中継器のストリーム数

 中継器については、複数の子機をつなぐ場合があるでしょうし、理論上の最高速度向上という意味でも、一般的にはストリーム数が多い方が良いと言えます。

 ただ、これも単純には言い切れません。

 実際に、現在使っている機種(TP-Link製 2.4GHz 2ストリーム、5GHz 1ストリーム)をバッファロー製(2.4GHz、5GHzともに2ストリーム)の機種に交換してみたところ、速度が落ちてしまいました。
 デュアルバンド同時接続では速度がはっきりと低下、5GHzのみで接続した場合は少し低下、という状態になりました。
(デュアルバンド同時接続については、過去記事「Wi-Fi 中継器設置の注意点と限界」をご覧ください)

 中継器の場合は、電波を受けて、送るという動作になるので、受信感度や電波の飛びということも関係してくるのだと思いますが、いずれにしても実際にやってみるまで分からないというのが正直なところです。

最後に

 Wi-Fiの機器において、ストリーム数が多い方が理論上の最高速度が速くなることは間違いないですが、それだけでは済まない要素が色々あるということです。

 ただし、今回言及した例はあくまで一例に過ぎませんし、そもそも元となるネット回線の速度が遅いという環境なので、高速なネット回線の速度をいかに活かすかという話になるとまた様相が変わってくるかも知れません。

余談

 参考までに、我が家は古いマンション住まいのため、インターネット回線は光ではあるもののマンション内は電話線を利用するいわゆる「VDSL」方式ですので、回線速度は最大でも100Mbpsです。
 また、電話機と自室との位置関係から、ルーターとPCとは、浴室、洗面所、台所、トイレをはさんで、住居の端と端、最も離れた位置にあります。
 このような環境で、下りが80Mbps以上(上りは大体40Mbps)の速度が常時得られているので、これ以上を望むのは贅沢というものかも知れません。

 マンション内の電話線を利用する場合でも、「VDSL」より新しく高速な「G.fast」という技術があり、auひかりが一部で採用しているようですが、うちのマンションは提供エリア外です。

 ですので、これ以上の速度を望むとすれば、可能性があるのはモバイルネットワークを利用するホームルーターくらいかと思いますが、これはこれで当たり外れが大きそうなので...

コメント

タイトルとURLをコピーしました