WAONの迷宮を彷徨うシリーズ、2回目は、電子マネー「WAON」です。
電子マネーの「WAON」はチャージ型の電子マネーの一つで、イオン系列の店舗以外でも使えますが、前回の記事でも解説したように、使う店舗によって溜まるポイントの種類が変わるという、ややこしい仕組みとなっています。
さらに、これに留まらず、ややこしいところがあれこれありますので、その辺を含めて解説していきたいと思います。
長い記事になってしまいましたので、時間が無い方は「まとめ」をご覧ください。
なお、WAONカードの中には、WAONポイントやWAON POINTの代わりにJALマイルが溜まるJMB WAONカードなどがありますが、今回はJMB WAON関連については割愛します。
WAONカードの種類
電子マネーの「WAON」を利用するためのカードには、解説などでよく出てくる「WAONカード」以外にもいくつか種類があります。
WAONカード と WAONカードプラス
WAONカード
ノーマルな単体の物理カードです。 発行手数料300円が必要です。
イオンの店舗等で発行してもらえます。
チャージ方法は現金のみです。
イオン店舗のレジやイオン銀行ATM、店舗設置のチャージ用端末などでチャージできます。
WAONカードプラス
上記のWAONカードにクレジットカードからチャージできる機能をプラスしたカードが「WAONカードプラス」です。
ただし、特定種類のイオンカード所有者が対象のカードとなっています。(公式ページの「発行対象カード」の項目をご覧ください。)
発行手数料300円が必要ですし、このカードがなくとも、クレジットカード(イオンカード)に付帯したWAONでクレジットカードからチャージ可能なものもありますので、クレジットカードからチャージしたいからと言ってこのカードを無理に発行する必要はないでしょう。
クレジットカード一体型
クレジットカード(イオンカード)にWAONの機能が付帯したものです。
「イオンカード(WAON一体型)」という名称のカードもありますが、カード名称に「一体型」と付いていなくても、WAON機能が付帯したカードはいくつかあります。
こちらのイオンカードの公式ページの「カード一覧」のうち、「WAON」と表示のあるものがWAON機能が付帯したものです。
キャッシュカード一体型
イオン銀行のキャッシュカード機能を有するカードにWAONの機能が付帯したものです。
具体的な種類は、こちらの公式サイトのキャッシュカード一体型のページをご覧ください。
ちなみに、クレジットカードの「イオンカードセレクト」がこの一覧に含まれていますが、イオンカードセレクトはキャッシュカードの機能も併せ持っていますので、こちらにも入っています。
モバイルWAON
Android端末で利用できるバーチャルカードです。
「モバイルWAON」というアプリをダウンロードし、新規にバーチャルなWAONカードを発行することができます。
物理カードのWAONカードと異なり、無料で発行できます。
「iAEON」アプリやGoolgeウォレットからも発行が可能ですが、これらのアプリは一部機能が制限されていますので、使いこなそうと思えば、いずれ「モバイルWAON」アプリを利用する必要があります。
現金によるチャージだけではなく、クレジットカードを登録することにより、クレジットカードからチャージすることもできます。
ただし、登録できるクレジットカードはイオン銀行発行のカード(イオンマークの付いたカード)に限られます。
チャージについては、後述するクレジットチャージの項目をご覧ください。
また、モバイルWAONの詳細については、公式サイトの「モバイルWAON」のページをご覧ください。
アプリごとの機能の違いなども記載されています。
Apple PayのWAON
iPhoneで利用できるバーチャルなWAONです。
「WAON」アプリをダウンロードして新規発行するほか、ウォレットアプリ(Appleウォレット)でも新規発行できます。
さらに、Android版と違って、すでに物理カードのWAONカードを持っている場合、これをiPhoneに取り込むこともできます。
ただし、すべてのWAONカードが対象と言うわけではありませんし、取り込まれたWAONカード(物理カード)の方は、それ以降利用できなくなります。
詳細については、公式サイトの「Apple PayのWAONをはじめよう」のページをご覧ください。
クレジットカードからのチャージにも対応しており、Android版とは違って、イオンカードだけでなくイオンカード以外のクレジットカードからもチャージが可能です。
しかも、クレジットカードの種類によっては、チャージによるポイント付与があります。
この点が、Apple PayのWAONの大きなメリットです。
後述するクレジットチャージの項目もご覧ください。
その他
提携WAONカード
他社と提携したカードもあります。中にはあらかじめポイントが付与されているというカードもあります。詳しくは、公式サイトの提携WAONカードのページをご覧ください。
WAONに関する機能は、WAONカード、WAONカードプラスと同じです。
ご当地WAON
少し特殊なカードとして、利用金額の0.1%をイオンが寄附し、地域活性化に役立てるという仕組みのものです。
それぞれの自治体特有の券面カードになっています。
詳しくは、ご当地WAONの公式ページをご覧ください。
基本的に物理カードですが、Apple Pay限定で、こんな(「ご当地WAON×にじさんじ」)キャンペーンというのもやっています。
チャージ
WAONはチャージ型の電子マネーですので、事前にチャージしておく必要があります。
チャージにはいくつかの方法がありますが、カードの種類によって、可能なチャージ方法が異なります。
現金でチャージ
現金チャージは、すべてのカードで利用可能です。
イオンなどの店舗のレジ、イオン銀行ATM、ローソン銀行新型ATM、イオンの店舗に設置の端末機でチャージが可能です。
端末機と言ってもWAONステーションではなく、チャージ用の端末機ですので、ご注意ください。
1,000円単位でのチャージとなります。
詳しくは公式サイトの「現金でチャージする」をご覧ください。
イオン銀行の口座からチャージ
利用できる銀行口座は、イオン銀行の口座だけです。
また、公式サイトの説明が何だか分かりにくいのですが、読み解いてみると、まずイオン銀行のキャッシュカード機能が付帯したカード(これらにはWAON機能も付帯しています)が必要です。
具体的には、イオン銀行キャッシュカード、イオン銀行キャッシュ+デビット、イオンカードセレクトです。
チャージの方法としては、都度金額を指定してチャージする方法とオートチャージがあります。
オートチャージは後程まとめて説明します。
都度チャージはオンラインでは行えず、イオン銀行ATMまたはローソン銀行新型ATMで操作する必要があります。
ATMを操作する中でキャッシュカード(WAON機能付き)をかざして、チャージするという形です。(具体的な手順は、イオン銀行ATMの例ですが、こちらの銀行チャージ手順をご覧ください)
つまり、わざわざイオン銀行ATM(またはローソン)に行って操作する必要がありますので、手間としては現金チャージとあまり差がありません。
クレジットカードでチャージ
物理カードの場合
クレジットカードからチャージできる対象カード(チャージを受ける側のカード)は限られています。
具体的な対象カードやチャージ方法は、公式サイトの「クレジットカードでチャージする」をご覧ください。
WAON一体型のクレジットカードは、付帯しているWAONにそのクレジットカードからチャージする形になると思います。
これ以外のWAONの物理カードについては、対になっているクレジットカードがあるはずなので、そのカードからチャージする形でしょう。
ただ、上記の公式サイトに記載されている以外にもWAON機能が付帯したクレジットカードはありますが、これらのカードはクレジットカードチャージには対応していないということでしょうか。この点はよく分かりません。(FAQや公式のチャットでもわかりませんでした)
ちなみに、イオンカードセレクトがチャージ対象のカードの中に含まれていませんが、これはイオンカードセレクトの場合はクレジットからではなく銀行口座から直接チャージされるからです。
ですから、口座残高がチャージ金額に不足している場合はチャージできませんので、注意してください。
なお、チャージ方法は上記の公式サイトにある通りで、物理カードの場合は、WAONステーションまたはイオン銀行ATMに出向くか、スマホのWAONステーション機能(AndroidならiAEONアプリ、iPhoneならWAONステーションアプリ)を利用するという形になります。
つまり、物理カードをタッチして読み取る必要があるということです。
モバイルWAONの場合
物理カードではありませんので、スマホ(Android)単体でチャージできます。「モバイルWAON」「iAEON」「Goolgeウォレット」いずれかのアプリの操作でチャージできます。
あらかじめチャージに利用するクレジットカードを登録しておく必要があります。
登録の仕方は、モバイルWAONのページやiAEONのページをご覧ください。
登録できるのは、注書きにあるようにイオンカード(イオン銀行発行のカード、イオンマークのあるカード)です。
Googleウォレットを利用する場合は、モバイルWAONをGoogleウォレットに登録しておき、Googleアカウントに紐づけたクレジットカード(イオンカード)からチャージします。
Googleアカウントにはイオンカード以外のクレジットカードも登録できますが、Googleウォレットを使っても、モバイルWAONにチャージできるのはイオンカードだけです。
試しに、Googleアカウントに登録した三井住友カードからチャージしようとしてみましたが、三井住友カードがグレーアウトされていてチャージできませんでした。 やはりAppleウォレットのようにはいかないようです。
Apple PayのWAONの場合
WAONアプリ、もしくはウォレットアプリ(Appleウォレット)からチャージできます。
WAONアプリの場合はチャージできるのはイオンカード(イオンマークのカード)に限られます。
ウォレットアプリならイオンカードに限らず、チャージできます。
ただし、ウォレットアプリでチャージに利用できるのは、Mastercard、Ameican Express、JCBの国際ブランドに限られます。
Visaでチャージ可能なのは、VisaブランドのイオンカードをWAONアプリで利用する場合だけとなります。
具体的なチャージの方法などは、こちらの公式サイトの説明をご覧ください。
なお、チャージが可能かどうかとポイントが付与されるかどうかは別です。
そもそもイオンカードでもセレクト以外のカードでは、チャージによるポイント付与はありません。イオンカード以外で、WAONにチャージしてポイントが付与されるカードは一部であり、数もあまり多くは無いと思います。
ポイント付与については、後述の「チャージによるポイント付与」を参照ください。
ポイントからチャージ
WAONポイント、WAON POINTどちらからもWAONにチャージすることができます。
WAONポイントは、実質的にこの方法しか使い道がありませんので、マスターしておきましょう。
はじめてWAONにチャージする場合は、大事な注意点があります。
未使用にWAONカードにはポイントのチャージができません。つまり、現金等でチャージをしてからポイントのチャージができるようになります。
具体的なチャージ方法は、ざっくり言うと、物理カードの場合はWAONステーションなどの端末機やスマホのWAONステーション機能を利用する。 モバイルWAONやApple PayのWAONについては、それぞれのアプリで操作する、という形です。
詳しくは公式サイトの「ポイントからチャージする」をご覧ください。
Apple PayのWAONについては、こちらの「ポイントでチャージする」をご覧ください。
ちなみに、Apple PayのWAONについては、アプリでチャージする場合は、保有ポイントすべてが一括してチャージされるようで、ポイント数を指定してチャージしたい場合は、物理カードと同じ手順を踏む必要があるようです。
なお、WAON POINTは、センター預かりのポイントとして扱われていますので、一旦ダウンロードという手順を挟む必要があります。
こんな風に見えています。
全ポイントを一括してチャージするなら、ワンステップで済みますが(「全ポイントチャージ」を選択)、一部のポイントだけをチャージする場合は、ダウンロード後にチャージという2ステップになります。
オートチャージ
オートチャージとは、チャージ残高があらかじめ設定した金額を下回ると、設定した金額分のチャージが自動的になされる仕組みのことです。
ただし、対応しているWAONカードは限られています。
オートチャージに対応しているWAONカードはこちらの公式サイトの「オートチャージ」のページに記載の通りです。 イオンカードセレクト、イオンカード(WAON一体型)などは対象です。
なお、公式サイトの記載には、Apple PayのWAONが書かれていませんが、モバイルWAONと同じくApple PayのWAONでもオートチャージの設定が可能ですし、それと、イオン銀行キャッシュ+デビットの記載もありませんが、このカードも設定可能です。
銀行口座からチャージできるタイプのWAONは銀行口座から、その他はクレジットカードからチャージがなされます。
オートチャージの設定は、物理カードについては、WAONステーション、イオン銀行ATMで行います。
具体的な操作は、上記の公式サイトから該当ページをご覧ください。
上記のサイトに記載はありませんが、iAEONアプリのWAONステーション機能でも可能です。
また、モバイルWAON、Apple PayのWAONは、それぞれのアプリから設定が可能です。
オートチャージのメリット
オートチャージは、チャージ残高をあまり心配せずWAONが利用できるということと合わせて、ごく一部のカードに限定されますが、チャージによるポイント付与もあります。
次のチャージによるポイント付与の項目をご覧ください。
注意点
オートチャージは、会計時に発動(支払い後の残高を計算して支払い前にチャージ)されますが、チャージされるのは設定してある金額ですので、買い物の金額が大ければ、チャージ後も不足額が生じる場合があり得ます。その場合は不足分を現金で支払うことになります。
上記の公式ページに参考例の記載がありますので、参照ください。
また、店舗によってはオートチャージが機能しないところがあるようで、つまり、その店舗では支払時に設定した残高を下回るにも関わらずチャージがされないということです。
例えば、ファミリーマート、マクドナルドなどではオートチャージが働かない、ということです。この辺は要注意です。(イオン系列以外でWAONを利用することはあまり無いと思いますが)
この他、イオンカードセレクトやイオン銀行キャッシュカードは、オートチャージは1日1回に制限されていますので、この点もご注意ください。
ポイント付与
チャージよるポイント付与
基本的にはチャージによるポイント付与はありません。
例外的に付与されるのが、イオンカードセレクト、イオン銀行キャッシュカード+デビットによるオートチャージの場合です。
それとApple PayのWAONにチャージする場合の一部のクレジットカード です。
イオンカードセレクト、イオン銀行キャッシュカード+デビットの場合は、200円につき1ポイント、WAONポイントが付与されます。(WAON POINTではなくWAONポイントが付与されます)
チャージでポイント付与されるのは、イオンカードセレクトだけが唯一の例外という説明を時々見かけますが、イオン銀行キャッシュ+デビットでもポイント付与はあります。
また、「キャッシュ+デビット」カードでも、お客様感謝デーなどのイオンカード特典を受けることもできます。
ただし、国際ブランドはJCBに限られるのと、この所イオンカードを対象としたキャンペーンが時々ありますが、それは「キャッシュ+デビット」は対象外です。
Apple PayのWAON
Apple Payの場合は、イオンカードではポイントは付与されませんが、他社カードでポイントが付与される場合があります。 ポイントが付与されるか、何ポイント付与されるのかは、そのカードによります。 ただし、ポイントが付与されるカードはあまり多くなさそうです。
有名どころでは、日曜日に1.5%ポイント還元の「VポイントカードPrime(旧 TカードPrime)」を利用する方法、また、クレカとの間にau PAYプリカを挟む方法(au PAYからWAONへのチャージにはポイント付与はありませんが、au Payへのチャージでポイントを狙う)などがありますが、最近では、クレカ → JAL Pay → WAON というルートでポイントの底上げを狙う方法をよく見かけます。
この辺の分野に関しては強者(つわもの)が沢山いらっしゃるので、興味がある方は調べてみて下さい。
利用によるポイント付与
WAONで支払った場合は、200円につき1ポイント(WAON POINT加盟店ではWAON POINT、それ以外ではWAONポイント)が付与されますが、イオン系列の店舗で利用した場合は、ポイントが2倍(200円につき2ポイント、この場合はWAON POINT)が付与されます。
ただし、物理カードのWAONカード(普通のWAONカードや提携カード、ご当地WAON)やApple PayのWAONについては、会員登録が必要で、登録していないと基本のポイント(200円に1ポイント)しかもらえません。
クレジットカード付帯のWAONやモバイルWAONについては、あらためて登録する必要はありません。
詳しくは、こちらの会員登録についての公式ページをご覧ください。
なお、細かい話ですが、200円につき2ポイントは1%還元ですが、100円につき1円ではありませんので、150円の支払いをしてもポイントは付与されません。 その点はご留意を。
利用できる店舗
イオン系列の店舗以外でWAONを利用することはあまり無いとは思いますが、WAONがどこの店舗で使えるのかは、こちらの公式ページ「WAONが使えるお店」をご覧ください。
ポイント2倍の対象店舗かどうか、オートチャージが機能するのかどうかなども確認できます。
まとめ
以上、色々とごちゃごちゃ書きましたが、イオン系列の店舗以外でWAONを使うメリットはあまりないと思います。WAONをメインに使っていてあれこれ手を出したくないという場合は別ですが。
面倒が無いという意味では、チャージの手間などを考えると、モバイルWAONかApple PayのWAONでクレジットカードチャージするのが比較的簡単だと思います。
特にApple PayのWAONは、ポイント還元の面でも高還元が狙えます。
結局、電子マネーWAONを使ってお得になると言うのは、次の2つのパターンだと思います。
一つは、イオンカードセレクトもしくはイオン銀行のキャッシュ+デビットを使って、オートチャージによるポイントを貰いつつ、イオン系列の店舗でお買い物をする。
この場合、特定の日やキャンペーンに関係なく、1.5%のポイント還元を得られます。(ポイントは、WAON POINTとWAONポイントに分散しますが)
もう一つは、iPhoneユーザーが、ポイント還元の得られる方法でApple PayのWAONにチャージして、イオン系列の店舗でお買い物をするというパターンです。
普通にお買い物をしても2~2.5%のポイントは期待できますし、ミニストップでPOSAカードを購入するなどしてさらにポイントの上乗せを狙うこともできます。
この所、イオンカードやAEON Payのキャンペーンが時々ありますが、対象に電子マネーWAONが含まれていない場合が多いです。 逆に、電子マネーWAONが対象になるキャンペーンでは、イオンカードやAEON Payも対象に含まれることがほとんどです。
つまり、上記の2つのパターン以外では、お得という面では、電子マネーWAONを利用するメリットはあまり無いと思います。
とは言え、イオンカードにはWAON機能が付帯したものも多いので、自動的に付いてくる場合も多いでしょう。
また、イオンモバイルなどのキャンペーンでWAONポイントをもらった場合も、WAONにチャージして使うしかありません。
いずれにしても、WAONのややこしい仕組みは、もう少しスマートにしてほしいものです。
さらに、そもそもの制度が複雑なのに加えて、公式サイト(とくに電子マネーWAONのサイト)の説明が非常に分かりにくいし、説明が足りない部分が多いです。
流行りのAI検索も、色んなものを混同した説明をしてくれるので、ほとんど役に立ちませんでした。
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