WAONの迷宮を彷徨うシリーズ、3回目は、クレジットカードのイオンカードです。
イオンカードには、提携カードを含めると、非常にたくさんの種類があり、機能も微妙に違っている部分があったりします。
一つ一つ解説しているとキリがありませんので、今回は、イオンカードの基本的なことや代表的なカードの紹介、そして、それぞれのカードの特徴を見るときに着目する点などについて説明します。
イオンカードを作ろうと思っているけれどどのカードにすべきか悩む、という方の参考になればと思います。
(追記で、最近問題になっている不正利用についても簡単に触れました)
イオンカードの基本
発行会社
イオンカードの発行会社は株式会社イオン銀行で、イオンフィナンシャルサービス株式会社が業務委託を受けて、イオンカードに関する業務を行っています。(合併ならびに社名変更に関するお知らせ)
年会費
ほとんどのカードは年会費無料です。
提携カードの中に、初年度無料、次年度以降は前年度に利用があった場合に無料、といういわゆる実質無料のカードが一部あります。
ポイント還元
ほとんどのカードは、カードの利用により、WAON POINTが付与されます。
基本還元率は0.5%、200円に1ポイントの付与です。
イオン系列の店舗ならいつでも、毎月10日はどこで使っても、ポイントが2倍(200円につき2ポイント)付与されます。(当然、ポイント付与対象外の利用もあります)
一部の提携カードについては、WAON POINTの代わりに他のポイントが付与されたり、提携先で利用した場合にWAON POINTに加えてダブルで他のポイントが付与されたりするものもあります。
国際ブランド
イオンカードには、Visa、Mastercard、JCBのブランドがありますが、カードによっては一部の国際ブランドしか無いものもあります。
電子マネーWAON
カード名称に「WAON一体型」と記されているものはもちろん、そうでないものでも多くのカードに電子マネーWAONの機能が付帯しています。
ただ、一部のカードでは、WAONの代わりに、交通系の電子マネーが付帯しています。
イオングループ等での利用特典(イオンマークのカード共通特典)
多くのカードは、イオングループで利用した際などに特典があります。
こちらの「イオンカードの魅力」で概観できます。
例えば、「ポイント還元」のところで説明したように、イオン系列の店舗で利用すると還元されるポイントが2倍(200円で2ポイント)、毎月10日はイオングループ以外でもポイント2倍となったり、毎月20日、30日はイオンでの買い物が5%オフだったり、イオンシネマが300円割引、毎月20日、30日なら1,100円、などです。
ただし、提携カードの中には、特典が一部しか無かったり、全く無い(その代わり提携先の特典がある)ものもあります。
イオンカードの種類
イオンカードの具体的な種類については、公式サイトの「カード一覧」をご覧ください。
上記であげた、国際ブランドやWAON付帯の有無や特典、付与されるポイントの種類などを確認することができます。
イオンカードは大きく分けて、他社との提携カードと提携の無いイオンの独自カード、提携の無いカードの中でも「セレクト」とそうでないカードにわかれます。 また、別の切り分けとして、ゴールドカードに昇格できるカードとできないカードという区分けもあります。
提携カードには非常に多くの種類があります。 すべてを紹介するのは無理なので、どういう違いがあるのかや、特徴的なものをピックアップしてみたいと思います。
他社との提携のないカード
イオンカードセレクト
カード名称に「セレクト」とついたカードは、イオン銀行のキャッシュカードが機能が付帯しており、イオン銀行の口座を持っている(もしくは同時開設する)ことが必須条件となります。
カードの利用代金もイオン銀行の口座から引き落とされます。
イオンカードセレクトは、単にキャッシュカード機能があって便利ということではなく、電子マネーWAONにオートチャージをすることによって、0.5%のポイント還元を受けることができます。
WAONの利用だけでなくWAONへのチャージでもポイントがもらえる、いわゆる二重取りです。
ただし、注意点として、イオンカードセレクトからWAONへのチャージはクレジットの利用ではなく、イオン銀行口座から直接引き落とされます。つまり、口座残高が不足しているとチャージできません。
電子マネーWAONについては、前回の記事「「WAON」の迷宮に踏み入ってみる その2 - 電子マネーWAON -」をご覧ください。
さらにイオンカードセレクトを持っていると、イオン銀行の利用でも優遇される点がありますので、WAONの世界にどっぷりとはまりたいという方にはおすすめのカードでしょう。
具体的な券種としては、
イオンカードセレクト、イオンカードセレクト(トイストーリーデザイン)、同(ミッキーマウスデザイン)、イオンカードセレクト(ミニオンズ) です。
上記のうち、前者3つはデザインと国際ブランドが違うだけですが、「ミニオンズ」だけは機能面でも他と少し違います。
「ミニオンズ」は、イオンシネマやUSJでお得な特典がある代わりに、ゴールドカードへの昇格対象では無い、というのが特徴です。 特典の内容は、イオンシネマでドリンク・ポップコーン付きのチケットが安く買える、USJの買い物でポイント10倍などですが、詳細は公式ページで確認してください。
なお、ゴールドカードについては、後程説明します。
セレクト以外のカード
上記の「セレクト」からキャッシュカード機能を除いたものというイメージです。(むしろキャッシュカード機能付きの方が特殊ではありますが)
イオン銀行の口座はいらない、または、イオン銀行以外から引き落とししたい、と言う場合は、こちらのカードか又は提携カードを選ぶことになります。
具体的な券種は、
イオンカード(WAON一体型)、イオンカード(WAON一体型/トイストーリーデザイン)、イオンカード(WAON一体型/ミッキーマウスデザイン)、イオンカード(ミニオンズ)
となっており、「セレクト」と同じラインナップです。
ゴールドカードに昇格できるのも「ミニオンズ以外」となっており、この点も「セレクト」と同じです。
ただし、イオンカード(ミニオンズ)は、WAONの機能も省かれているので、この点は「セレクト」と異なっているので注意してください。
また、「ミニオンズ」を除き、WAONへのオートチャージ自体は可能ですが、オートチャージによるポイント付与はありません。チャージによるポイント付与は(キャッシュ+デビットは別にして、イオンカードでは)「セレクト」だけの特典です。
提携カード
提携カードの特徴は、それぞれの提携先に応じた優待などの特典がありますが、それ以外に、
国際ブランドが、3種のもの、2種のもの、1種だけのもの と言う違い
電子マネーWAONの代わりに、Suicaなど交通系電子マネーが付帯しているもの
貯まるポイントがWAON POINTではなく、JALマイルやJRキューポなど他社のポイントであるもの
また、WAON POINTと他社のポイントがダブルで貯まるもの
などがあります。
以下、特徴的なカードをいくつかざっと紹介します。
TGCカード
東京ガールズコレクションとのコラボカードで、チケットの先行販売や専用クロークなどの特典があります。
TGC Premium会員であればより多くの特典を受けることができますが、年会費が11,000円かかりますので、このカードの特典内容で満足ならお得です。
さらに、イオンシネマで「ミニオンズ」と同じ特典を受けることができます。ただし、USJでの特典はありません。
イオンJMBカード(JMB WAON一体型)
WAON POINTの代わりにJALマイルが貯まるカードです。付帯するWAONもWAONポイントではなくJALマイルが貯まるJMB WAONが付帯しています。
イオンのお買い物でもJALマイルを貯めたいという方にどうぞ。
ただし、イオンカードの共通特典のうち、イオン系列の店舗でポイント2倍など対象外となっている特典がありますので、そのご留意を。
イオンSuicaカード
電子マネーのWAONの代わりにSuicaが付帯したカードです。
モバイルSuicaにも対応しているのですが、Suicaを使いたいのであれば、もっとお得な方法が他にもあります。
カード利用で溜まったWAON POINTをSuicaにチャージできるのが特徴ですが、1000ポイント単位なので、使い勝手が良いとは言えません。
このカード以外にも、交通系電子マネーが付帯した同種のイオンカードがありますが、同じような感じです。
JQ SUGGOCA
JR九州のSUGGOCAが付帯し、ポイントもWAON POINTではなく、JRキューポが貯まるカードです。
イオンでのお買い物でもJRキューポを貯めたいという人は別ですが、お客さま感謝デー以外のイオンカードの特典が無い、つまりイオンでの利用でも0.5%の還元となります。
その代わり、JR九州関連施設等の利用で特典があります。
イオン E-NEXCO pass カード(WAON一体型)
NEXCO東日本との提携カードですが、全国の高速道路のETC走行がポイント2倍(1.0%還元なので、これは並でしょう)、土日は3倍(1.5%とこれは高還元の部類)というのが特徴です。
貯まったWAON POINTをE-NEXCOポイントに交換して、通行料やSA・PAでの買い物に利用できますが、1000ポイント以上500ポイント単位と、使い勝手はいまいちですが。
このカード以外にも、他の高速道路会社との提携した同種のカードがあります。
イオンカードの共通特典は普通のイオンカードと同じなので、高速道路を土日によく利用するという人には良いかも知れません。
余談ですが、ETCにもマイレージサービスというものがあります。高速道路をよく利用する人にはかなりお得なので、利用することをおすすめします。
こちらの過去記事「ETCにもマイレージサービス?」をご覧ください。
コスモ・ザ・カード・オーパス
コスモ石油との提携カードで、一定量までの給油の割引や会員価格での給油に加えて、対象の高速道路での土日のETC利用がポイント3倍(1.5%還元)です。
対象の高速道路も「イオン E-NEXCO pass カード(WAON一体型)」とほぼ同じなので、違いは平日利用のポイント還元率です。
一方で、コスモ石油はWAON POINTの加盟店ですので、ポイント交換などではなく、1ポイント1円換算で、そのままWAON POINTが使えます。ポイントの使い勝手はこちらの方が良いです。
とは言え、WAON POINTの使い方は色々ありますが。
イオンカード(櫻坂46)
「イオンウォレット」アプリ内で櫻坂46の推しメンを券面表示できたり、会員限定グッズを購入できたり、といったカードです。
他のイオンカードと同様、年会費無料、WAONも付帯、イオンカードの共通特典もありますので、ファンの方には良いかも。
同種のカードで「イオンカード(SKE48)」というのもありますが、こちらは会員限定グッズの購入特典は無いようです。
コジマ×ビックカメラカード(コジマポイントカード・WAON一体型)
家電量販店のコジマでの買い物で付与されるコジマポイントについて、他社クレジットカードなら現金の場合よりも2%減(1%、2%付与の商品は0.5%付与になる)されるところ、このカードで支払った場合は、現金支払いの場合と同じポイントがもらえるというものです。
また、ビックカメラ、ソフマップでの買い物の場合も、対象ということです。
同種のカードとして、イオンカードではなくてビューカードの一つですが、ビックカメラSuicaカードというのがあります。 詳細は省きますが、どちらもビックカメラ、コジマ、ソフマップでお得に使えるカードと言えます。
違いは、コジマ×ビックカメラカードの場合、WAON機能、イオンカード共通特典に加えてイオンシネマでの優待特典もあります(ただし、優待券の年間総発行枚数に上限あり、つまり早い者勝ち)。
また、コジマポイントに加えてWAON POINTも(0.5%ですが)ダブルで貯まります。
一方で、ビックカメラSuicaカードは、Suicaが付帯、Suicaへのチャージで1.5%のポイント還元があるというのが大きな特徴です。チャージしたSuicaでビックカメラで買い物するというような使い方でもポイント底上げも狙えますので、ポイント還元率ではビックカメラSuicaカードの方がお得ではあります。
ウエルシアカード
年会費無料、カード利用でたまるポイントは、WAON POINT。 電子マネーWAONも付帯。 と機能面では普通のイオンカードです。
ですが、イオンカード共通特典に加えて、ドラッグストアのウエルシアでお得に使えるカードです。
ウエルシアはポイント制度がちょっとややこしかったり、独自で毎月特定のお得な日があったり、色々とありますので、ウエルシアのお得な利用の仕方ということで、別に記事にします。
イオンゴールドカード
最初からゴールドカードに申し込むことはできず、一般カードを年間50万円以上利用することでインビテーションを受けて昇格することにより取得できるカードです。
年会費は無料です。
ゴールドカードに昇格できるカードは、6種類に限定されています。イオンカードセレクト、イオンカード(WAON一体型)、それぞれのトイストーリーデザイン、ミッキーマウスデザイン、の合計6種類です。
ゴールドカードの特典としては、毎月20日、30日のお客様感謝デー(5%オフ)の対象店舗が、イオンモールの専門店も含まれる点や期間限定のキャンペーンなどで一般カードよりさらにお得になる場合がある、という感じでしょうか。
以前は、ゴールドカードを持っていれば、イオンモールのラウンジを利用できたのですが、現在は、ゴールドカードであれ一般カードであれ、年間100万円以上の利用が条件になっています。
ゴールドカードについて詳しくは、公式サイトの「イオンゴールドのご案内」をご覧ください。
まとめ
少しでもお得にWAON POINTを貯めたい方で、イオン銀行の口座を持っている又は開設してもよい、という場合は、イオンカードセレクトの中からどれかを選ぶと良いでしょう。
電子マネーWAONへのオートチャージを設定し、イオン系列の店舗でWAONで支払えば、特定の日や曜日に関係なく、WAON POINT1.0%、WAONポイント0.5%、合計1.5%の還元を受けることができます。
「セレクト」の中でも、ゴールドカードへの昇格は必要なくて、イオンシネマやUSJでお得に使いたいということなら「ミニオンズ」が良いでしょう。
イオン銀行は使いたくないという場合は、「セレクト」以外のカードということになりますが、提携カードで自分のニーズに合うものがあればそれで良いですし、特に提携先の特典が必要なければ、普通のイオンカード(WAON一体型)で良いと思います。
例えば、ウエルシアカードは、ウエルシアの利用でかなりお得なので、イオン自体は時々利用するけど、「セレクト」や「ミニオンズ」の特典は不要というならウエルシアカードで良いでしょう。
イオンカードでなくとも、イオンのコード決済AEON Payでも、似たような条件でWAON POINTの還元を受けることができますし、全く別の決済方法(モバイルSuicaなど)を利用して高還元を狙う方法もありますが、最近はイオンカード対象のキャンペーン(イオンカードの利用でポイント10倍など特定日や期間下限定のキャンペーン)を時々やっていたりするので、イオンを利用するならイオンカードはどれか1枚持っていても損は無いと思います。
なお、イオンカードを作る際には、ポイントサイトを経由するとお得です。
追記 不正利用について
イオンカードの不正利用について問題になっていますので、簡単に触れておきます。
内容としては、不正利用が多発、カードの利用を止めても不正利用が続く、と言うのが特に話題になっており、また、不正申告後の対応手続きに非常に時間がかかっている、不正利用分である旨申告しても一旦支払いを求められる、というイオンカード側の対応に多くの人が不満を持っているようです。
個人的には、今回の不正内容自体は、イオンカードに限らず他社のカードでも起こりえることと思います。
カードを止めても不正利用が続くという点についても、iD決済やApple Payの仕様に起因する部分が大きいのではないかと思います。
どのような仕組みを悪用されたのかについては、Impress Watchに詳しい記事が掲載されていましたので、興味のある方は探してみて下さい。(「クレカを止めても不正利用が止まらない」のメカニズム)
ただし、色々な記事や報道を見る限り、イオンカード側の対応については、多くの人が不満に思っているように、もうちょっと何とかならなかったのかなと思います。
イオンカード自身も対応に時間がかかっていることについて謝罪しています。
(イオンカードのお知らせ「【重要】フィッシングメールや不正利用などの被害にあわれたお客さまへ」)
ある記事では、今回の手口に利用された方法については極度に制限されており、不正自体は大きく減っているということですが、早期に正常化するようにしてほしいと思います。
同時に私たち利用者も、フィッシング詐欺への注意、小まめな利用明細のチェックといった基本的なことを怠らないことが重要です。
特に、不正利用に対する補償は、多くのカード会社において「不正利用の申告をした日から遡って60日前までの利用」に制限されています。それ以前の利用については不正であっても免責、つまり補償されません。
60日ということですから、下手をすると毎月の請求を1回見逃すとアウトということも考えられます。面倒がらずに利用明細は都度チェックしましょう。
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