スマホのSIMロック解除やSIMフリースマホで注意すること

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UnsplashのBrett Jordanが撮影した写真

 少し前ですが、中古のスマホ利用者が増えていると話題になったり、AmazonなどのECサイトやキャリアのオンラインショップでも、回線契約をせずにスマホを単体で買うことができるようになりました。
 そして、SIMロック解除、SIMフリーが一般的となって、回線事業者にとらわれずに、契約することもやりやすくなりました。
 ただ、うっかりすると、何かスマホが使いにくい、あるいは全く使えない、ということにもなりかねないので、注意も必要です。今回はそんなお話です。

SIMロック解除、SIMフリー とは?

 かつて(と言ってよいでしょう)、各携帯事業者(キャリア事業者=docomo、au、ソフトバンクなど)のショップで端末(携帯・スマホ)を買うのが一般的だった時代、ある事業者で買った端末はSIMカードを入替えても別の事業者との契約で使うことは、電子的な制限がかかっていて、できませんでした。
(例えば、docomoショップで買ったスマホは、au回線では使えない、など)

 これをSIMロックと言います。

 このロックを解除することをSIMロック解除、そもそもロックが掛かっていない端末(スマホ)をSIMフリー端末(スマホ)と言います。

 メーカーが、どの回線事業者でも使えますよ、という形で販売しているのが、本来のSIMフリーだと思いますが、事業者(通信事業者ではなく、スマホを単体で販売している事業者、中古販売業者が主)の中には、SIMロック解除済みの端末をSIMフリーと呼んでいる場合もあります

 なぜSIMロックというものがあるのかについては、なりすましや不正利用の防止など色々理由は言われますが、一番大きいのはある種の「囲い込み」なんだろうと思います。

 それはともかく、現在では、総務省によって、各キャリア事業者にはSIMロック解除が義務付けられており、最初からロックがかかっていなかったり、かかっていてもその端末の発売元のキャリア事業者に頼めばロック解除してくれます。

 ただし、オンラインで手続きすれば無料ですが、ショップでやってもらうとたぶん有料になります。

SIMフリー、SIMロック解除した端末を使う際の注意

 では、SIMロックがかかっていなければ、どの端末でも自由に事業者を選んで使えるか、というと、そう簡単にはいきません。
 大きくは、以下の点に注意する必要があります。

対応周波数の問題(主にプラチナバンド)

 各キャリア事業者は、携帯の電波を利用するのに、周波数帯域(バンドと言われます)を分け合い、棲み分けをしています(国に割り振られているわけですが)。
 バンドが割当てられているのは、docomo、au、ソフトバンク、楽天の4社で、mvno(いわゆる格安SIM事業者)はこれらのバンドを間借りして使用しています。
 それぞれのサブブランドなども親キャリアと同じバンドを使います。(例えばUQモバイルもpovoもauと同じバンド)

 従って、SIMロックがかかっていなくても、例えばdocomoで買った端末がau回線の周波数帯(バンド)に対応していなければ、使うことはできないわけです。
 
 実際には、全く対応していないということは無く、多くの帯域では相互に対応していますが、「プラチナバンド」と呼ばれる、比較的低い周波数の一部帯域で、他社に対応していない、というケースが多い(と言うかほとんど)です。

 では、一部の帯域が使えないだけなら問題ないかと言うと、そうとも言えず、特ににプラチナバンドと言われる周波数帯域はその特性として、他の高域のバンドに比べて、通信速度では劣るものの、建物の影や屋内に電波が届きやすい、また遠くにも届きやすいという利点があります。

 つまり、プラチナバンドに対応していないと、建物の中や郊外などで電波が入りづらいということが起こります。例えば、docomo買ったスマホをau回線に変更して使いだしたら、普段は問題なく使えるけど何か時々電波が入りづらくなったなぁ、というような感じです。

 もっとも、楽天モバイルの場合は、そもそもプラチナバンド自体を割り当ててもらっていないので、関係がないというか、そもそもの問題というか、そういうことです。 

 この辺は、住んでいる場所や利用状況にもよるので、プラチナバンドが使えないと絶対に困るとも言い切れません。実際に、うちの娘は一時期auのSIMロック解除済み端末をdocomo回線で使っていましたが、「建物の奥では入りにくいけど、別にそんなには」とあまり困ってはいない様子でした。
 でも、対応しているのにこしたことはありません。いざと言うときに繋がらないと困ります。

 端末ごとのバンドの対応状況は公式ページで公表されていなくても、「機種名 対応バンド」などと検索すれば色々情報は出てきます。

5G対応端末は4G契約では使えない、場合がある

 SIMロック解除、SIMフリーに限った話ではないのですが、注意点の一つとして書いておきます。

 一時期さかんに宣伝していたので、5Gという言葉はご存じだと思います。
 5G、4Gの説明は省略しますが、簡単に言うと、5Gはこれまで主流であった4Gよりもさらに高速通信が可能となる通信規格です。

 5G通信を行う場合、事業者側もそうですが、端末の側も5Gに対応したものが必要になります。

 では、大は小を兼ねるではありませんが、5G対応端末であれば、4Gでも自由に使えるのかというと必ずしもそうではないようです。
 
 5G通信が行えるエリア自体がまだ限られているので、5G端末でも当然4G通信はできるのですが、例えば、auについては、5G対応端末は4G契約ではつかえないと、au自身がアナウンスしています。5G契約をすることで、5Gでも4Gでも使えるようになるということです。
 auは5G対応用と4G用でSIMの種類が違うらしく、このような状況になっているようです。

 キャリアによって、この辺の事情は違うようですし、mvno(いわゆる格安SIM事業者)であれば、au回線であっても、このような問題はほとんど無いようです。
 実際、私は5G対応端末を、mvnoのau回線で使っています(4Gとは別の5G契約というものもありません)が、特に問題ありません

 いずれにしても、この点も頭の隅に入れておいて、場合によっては確認が必要かと思います。

端末の仕様によっては、特定の回線、事業者で使えない場合がある

 比較的最近発売された端末であれば、あまり問題にはならないと思いますが、古い機種の場合は必要な仕様を満たしていないため、使えないという場合があります。

 例えば、現在標準となっている VoLTE という通話の規格がありますが、古い端末だとこのVoLTEに対応していない場合があります。VoLTEに対応していなくとも、現状では通話ができる(3Gという古い規格で対応)事業者もありますが、au回線、ahamo 、povo、LINEMO は VoLTE に対応してないと通話ができませんし、やがてはすべての事業者、回線がVoLTEのみ(3G非対応)に移行していきます。
 しかも、私が以前に使っていたOPPOのSIMフリー端末などは、VoLTE対応と宣伝していたのに、docomoのVoLTEにだけは非対応(au、ソフトバンクには対応)だった、という場合もあります。

 これ以外にも仕様、規格の違いで一部事業者では使えないという場合があります。

 例えば、同じく私の使っていたOPPO端末は、詳しい理由は分かりませんが、楽天モバイルの公式ページで動作確認状況を調べてみると、使えない機能がある(というかほぼ使えない)という結果でした。

 たまたまOPPOの例を出しましたが、メーカーがどうということではなく、仕様が古いと対応していない場合がありますよ、ということです。

 mvnoを含めて多くの通信事業者は、ホームページ上で動作確認済みの端末を公開していますので、中古の端末を使ったり、端末はそのままで通信事業者を乗り換えたりしようとする場合は、確認しておいた方が良いと思います。

 ただし、ここで動作確認済みと出ていても、上で書いた対応周波数問題、プラチナバンドには対応していないという場合もある(そのようなケースが多い)ので、周波数の対応状況は別に調べる必要があります。

おわりに

 今やスマホがないと非常に不便な世の中になりました。先日のauの通信障害で私自身が痛感しました。コンビニ等でスマホ決済しようにもできません。
 なお、4大キャリアならぬ4大スマホ決済の比較記事については、こちらをご覧ください。

 でも、スマホを買って回線契約をしようと思うと、色んな意味で複雑なことが多すぎると思います。
 今日書いたことは、複雑なことのほんの一部です。
 料金体系や販売価格も含めて、よく注意しないと、何か思っていたのと違うということになりかねません。

 情報収集、勉強しない方が悪いという考えもあるかも知れませんが、単なる趣味の機械ではなく、生活に必要な道具にもなってきているので。
 色々経緯や事情があるのだとは思いますが、もっと分かりやすく、ユーザーが自由に選択できるような環境になってほしいなあ、と思います。
 (料金体系なんかは昔に比べると随分ましになったとは思いますけど)

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