前回、前々回と自転車そのものについて書きましたが、今回は服装の話です。
ロードバイクに乗るのにどんな服装をしようとも自由です。ですが、スキーウエアがスキーをするのに便利なように、サイクルウェアはサイクリングに快適なように作られています。
でも、初心者にはちょっと気恥ずかしい。 そんなサイクリングの服装について、思うところをまとめてみました。
少しでも参考になればと思います。
総論
ロードバイクに乗っている人が、体にピッタリして又間がモッコリした、「いかにも」という恰好をしている(よく分かりませんかね)、アレがサイクルウェアです。
冒頭に書いたように、サイクリングに快適なようにできているので、別に恥ずかしがる必要はありません。
また、「初心者が恰好だけ一人前に」なんて思われないだろうか、なんて心配する必要もありません。スキーの初心者であってもスキーウエアを着るのが当たり前なのと同じです。そもそも、自分が思っているほどには誰も赤の他人の恰好なんて気にしていません。
どの地域にお住まいなのかにもよりますが、サイクルウェアとしては、基本は、夏用(半袖、短パン)と冬用(長袖、長ズボン)があれば良いかなと思います。あとは、気温に応じて、インナーやちょっと羽織るものを組み合わせて対応できると思います。
季節を問わず共通なもの
ヘルメット
前回も書きましたが、ヘルメットは必ずかぶりましょう。
市街地では車の横を走ることも多いですし、また下り坂ではかなりのスピードが出ます。転倒すれば大きな事故になりかねません。命を守るためにもヘルメットをかぶりましょう。
デザインや価格も色々ですが、JISやSG、CEなど、何らかの安全規格を通ったものを選びましょう。
ビンディングシューズ
前回、ペダルのところでビンディングについて書いたように、靴もそのペダルにあったビンディングシューズが必要になります。(ゆっくり走るなら運動靴でも乗れますが)
私は、SPDで、マルチモードクリートというタイプのクリートを付けています。
(ビンディングやSPDについては、前回の記事のペダルのところを参照ください)
普通のクリートは、シングルモードと言って足を横に捻った時だけ外れます。これに対してマルチモードクリートは斜め上や真上に足を引っ張り上げても外れるようになっています。ですので、とっさ時にもペダルから足を外すことができ、初心者にはありがたいものです。
ですが、ネット上の記事ではあまり推奨されていないこと多いようで、その多くは、こんなの使っているといつまでたっても初心者のままで本格的なSPD-SLには移行できないよ、的な意見かなと思います。
長年マルチモードを使っている立場から言えば、普段ビンディングを外すときにはちゃんと外側に捻って外しますし、これが一番外しやすいですから。でも、何かとっさの場合、前のバイクが急ブレーキを踏んだ、横から何か飛び出してきた、などの時に、ともかく足を引っ張れば外れるというのはとても安心です。逆にこれを付けていたからと言って、ビンディングのつけ外しが上達しないとかそんなことは無いように思うのですが。
ただ、これまでにマルチモードを使っていて良かったというような場面はほんの数回しか無いと言えば無いのですが。
夏用
ウエアもさることながら、真夏は熱中症に気を付けてください。日中は避けて早朝に走る、日陰を選ぶ、水分・塩分補給を小まめに、水を頭や首にかける、などなど、色々な対策を工夫して十分に気を付けてください。
サイクルジャージ
夏用も冬用も共通ですが、サイクルジャージは、前かがみなっても背中が出ないように後ろの裾が長めになっていたり、ペダルを漕ぐのに邪魔にならないように背中側にポケットが付いていて、ちょっとした小物を入れることができるようなっています。
特に夏用は、半袖で吸汗、速乾の素材が使われていて、汗をかいてもベッタリと体に張り付いたり、重くならないように工夫されています。
デザインもお値段も様々なので、体形に合えばあとはお好みで。
また、サイズもぴっちりが好きな人もいれば、少し緩めの方が好きな人もいますし、これもお好みで。
レーシングパンツ(レーパン)
ロードバイクのサドルは固い素材でできています。このため、レーシングパンツ(俗にレーパン、またサイクルパンツという言い方もあります)と言う、股間からお尻にかけてパッドの入ったパンツを履きます。また、ペダルを漕ぐのに邪魔にならないよう、全体にぴっちりしたデザインになっています。
また、ビブショーツという、肩ひもとパンツが一体となった「つなぎ」のようなものもあります。この方がお腹を締め付けることが無いので楽です。
ただし、肩ひもがくっついているので、トイレが大変です。男性の小なら何とかならないことも無いですが、腰で止めるレーパンに比べると非常に大変です。
ですので、私はもっぱら普通のレーパンを愛用しています。この辺もお好みで。
インナーウェア
下着の類ですが、レーパン(ビンディングもそうですが)の下には何も履かないのが一般的です。下着を履いていると、自転車に乗っているうちによれてきたり、擦れてきたりして股間が痛くなってきます。
なのですが、私はどうも気持ち悪くて、スポーツショーツのようなピッタリとした速乾素材の下着を履いています。たぶん少数派だと思います。
サイクルジャージの下も、夏場は何も着ない人も多いと思います。ですが、これも私は、吸汗速乾素材のシャツを着て、ジャージは少し緩めのものを着ています。ジャージ1枚でも暑いときは暑いし、汗が体を伝っていくのが気持ち悪いので、このようにしていますが、この辺もお好みで。
手袋、アームカバー
この辺は完全に好き好きです。
私は、指先の出る手袋を付けますが、夏場は素手という人も多いです。
汗で滑るのが嫌なので、私はこうしていますが、素手の方がすっきりはします。
また、腕を覆うアームカバーは付けている人が多いです。私もそうです。汗を素早く発散させるので、素肌を直射日光にさらすよりも涼しい、という謳い文句ですが、この点は半々かなという気がします。それは、何もつけていない方が爽快は爽快です。
私としては、日焼け防止に着けているという面が大きいです。手袋をするので、腕だけ焼けると何だか格好悪い焼け方になるので。
冬用
冬用のウエアは難しいです。
一つは、寒さの感じ方が人それぞれだからです。上半身、足、腕、それぞれでも人によって強い人弱い人がいます。
もう一つは、走り始めは寒くても、しばらく走って体が温まってくると、着過ぎていると暑くなってしまうということがありがちだからです。
登山であれば、重ね着を細かく調整しながら歩くということも可能ですが、自転車ではそう簡単にはいきませんので。
ですので、天候にもよりますが、走り始めは少し寒いくらいにしておきましょう。
私の例は、本当に参考程度に。実際には、あれこれ試行錯誤して、自分に合ったスタイルを決めていくしかないと思います。
サイクルジャージ
冬用は、長袖、裏起毛のタイプが一般的だと思います。
高機能を謳って、真冬でも全然寒くない、というような製品もあるようですが、私はそんな高級品は着たことが無いのでよく分かりません。お財布に余裕のある人は、試してみて下さい。
レーシングパンツ
これも冬用は長ズボン、裏起毛のものになりますが、さらに防風を謳って全面だけ風を通さないというようなタイプもあります。
ただ、足はペダルを漕いでいると結構温かくなるので、私は通気性の無いものは汗が溜まって不快になるかなと思い、使わないようにしています。
ビブショーツについては、夏用と同じ話です。
インナーウェア
冬でも状況によって汗をかくのは避けられませんので、それが冷えて寒くなる「汗冷え」を防ぐのが重要です。
ですので、多くの人が仰ってますが、ヒートテック(同種のものを含む)を冬のスポーツに着るのは避けましょう。レーヨンという素材を使っているためか、大量に汗をかくと汗を吸収しきれませんし、乾くのも遅く、冷たくなってしまいます。
私は、ポリエステルの吸汗速乾素材のシャツの下に、メッシュになったシャツを着ています。メッシュが汗でぬれた下着が体に張り付くのを防ぎ、サラッとして感触で快適です。いずれも登山用のものが何種類か販売されているので、調べてみて下さい。
手袋
冬は指先が冷たくなります。
ですが、走って体が温まってくると、分厚い手袋は鬱陶しくなりますし、そもそもシフトだったりブレーキだったりの操作にも邪魔です。
私は、あまり分厚くないスリーシーズン使えそうな手袋をできるだけ使うようにして、真冬には走り始めだけ手袋を二重にし、体が温まってきたら外側の手袋を仕舞うようにしています。
シューカバー
ビンディングシューズは、夏を想定しているのか、通気性が良いものが大半です。このため、冬は冷たいです。
で、シューズを覆うシューカバーというものが売っていて、これを使っている人も多いです。
ですが、私の場合は、走り始めは冷たくても走っているうちに足先もそんなに気にならなくなってくるので、シューカバーは使っていません。
この辺は、上で書いたように人によるので、冷たくてたまらないという人には、こんなものもありますよ、ご紹介しておきます。
アウター
最初に、自転車では重ね着の調整は難しいと書きましたが、最低限可能な調整はしようと思っています。
多くの人は、サイクルジャージの上に何か羽織ることはほとんど無いと思いますが、私は、走り始め寒いときに薄てのパーカーなどを羽織って、体が温まってきたら畳んでボトルケージに入れる(寒いとボトルは1本で足りますので、2つのうち空いてるボトルケージに)、と言うようなことをしています。
また、止まって休憩するときや、パンクなどのトラブルに対応するとき、走ってないと体が冷えてくるので、一つ何か持っておくと便利です。
このようなことをしている人はあまりいないかも知れませんが、一つの参考に。
ネックウォーマー
これも使っている人は少ないかも知れませんが、寒いときには役立ちます。
口元を覆うこともできますし、あると無いとではかなり体感が変わります。
体が温まってきて邪魔になってきたら、ジャージのポケットやサドルバッグなどへしまえば良いです。
どこで買うか
サイクルウエアは、Amazonなどのネットショップでもたくさん売っていまし、安いものも多いですが、身に着けるものですので、やはり実店舗で自分の体形に合うか確認してから買うのが良いと思います。
都心の大型店舗ならたくさんの種類も置いています。また、ショッピングモールなどのスポーツ用品店や登山用品で有名なモンベルなどにも数は少ないですが置いています。
ジャージやパンツなどは、多少サイズが緩かったりきつかったりしても、無理して着れないことはないので、ネットショップを利用するのもありだとは思いますが、その場合でも、レビューをよく見て、レビュアーの身長・体重と着心地、評価などを参考にしましょう。
シューズとヘルメットだけは、サイズが合わないと非常に辛いことになるので、実際に着けてみてから買う方ことをお勧めします。靴などは、普段からそうしているから大丈夫と仰るなら、別に止めはしませんが。
シューズは、登山靴のようにずっと歩き続けるわけでは無く、ペダリングの方が靴・足への負担は少ないと思うので、登山靴ほどシビアになることは無いとは思いますが。
最後に
冬用のところの最初にも書きましたが、自分なりのスタイルが分かって来るまでは、あれこれ試行錯誤をして、失敗したなと思うこともあるでしょうが、仕方ありません。
また、ワークマンやユニクロの製品で代用できるものもあるでしょうけれど、サイクルウエアはサイクリングに快適なようにできているというのはお忘れなく。その上で色々と工夫して楽しみましょう。
私は、あまりデザインなどに拘らないのですが、おしゃれも楽しみの一つだというのは確かにそうなので、ウエアに凝るというものありだと思います。
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