スポーツバイク(ロードバイク)入門 ~車種選び~

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UnsplashのJöran Maaswinkelが撮影

 少し前の話ですが、新型コロナの影響もあってか、スポーツバイク(自転車)に乗る人が増えた、と聞きました。
 スポーツバイクって、何をどんな風に始めればいいの? と思っているような方に、私の経験から思うことや注意点などをまとめてみました。少しでも参考になればと思います。

 以前、中高年向けの筋トレの記事をあげましたが、室内で体を動かすだけではなく、たまに外の風を感じて走るのも爽快なものです。健康づくりのために中高年からスポーツバイクを始めたって、全然OKです。

スポーツバイクの種類

 大まかには次のような種類になるかと思います。

クロスバイク

 いわゆるシティサイクル(一文字ハンドルの普通の自転車)を軽量にしてスポーツよりにしたもの、というイメージです。街中でもよく見かけます。
 ハンドル形状や着座姿勢など、シティサイクルから乗り換えても違和感は少ないです。
 しかし、軽快さはシティサイクルとは段違い、爽快です。
 乗りやすい、汎用性が高い、色々こなせますが、その分中途半端とも言えます。
 

ロードバイク

 ドロップハンドルの昔からあるアレです。スポーツバイクと言えばこれを思い浮かべる人も多いでしょう。
 その名の通り、舗装道路を高速で走ることに特化した自転車です。その分、汎用性はありません。これで買い物に行ったり(できなくはありませんが)、未舗装道路を走ったり(できなくはありませんが)、あれこれするには向きません。

グラベルバイク

 グラベルロードバイクと言ったり、グラベルロードと言ったりするように、形状はロードバイクとそっくりですが、数日のツーリングをこなせるように考えられた自転車です。
 グラベルとは砂利のことで、舗装道路だけではなく、未舗装道路も走れて、多くの荷物を積むことも想定された作りになっています。

シクロクロスバイク

 名前にクロスバイクと入っていますが、形状はロードバイクとよく似ています。
 シクロクロスという未舗装のコースで行うレース競技用の自転車です。
 未舗装道路を走るという点ではグラベルバイクと同じですが、荷物の積載や着座時の姿勢など、長距離を走ることはあまり想定されていません。ある意味特殊な立ち位置の自転車です。
(別に、普通に乗っても全然かまわないです。ダートも走れるロードバイクというような感覚で乗っている人もいます。)

マウンテンバイク

 その名の通り、山道を駆け回るために設計された自転車です。
 別にこれで舗装道路を走っても一向にかまわないのですが、太くてごついタイヤ、段差を乗り越えるためのサスペンション、ハンドル幅、着座姿勢、など、舗装道路を駆け抜けるためにはあまりふさわしくない作りになっています。

クロスバイクかロードバイクか

 スポーツバイクを始めるにあたって、どのタイプの自転車を買うべきか?

 山の中を走りたいとか、何日もかけたツーリングをしたいとか、明確な目的がある場合には、それ用の自転車を選ばないといけませんが、週末にサイクリングに行くことから始めたい、と言うような場合には、舗装道路を走ることになるでしょうから、この2つ(クロスバイクロードバイク)で迷うことになるでしょう。
 汎用性、コスパをとるか、性能重視か。

 私の結論を言いますと、趣味として自転車に乗るのであれば、ロードバイクを買いましょう

 日常の買い物や駅までの通勤など、普段使いでも自転車には乗るし、クロスバイクなら色々使えて、週末にはちょっと遠出もできるし、それに、クロスバイクの方が値段も安いし、最初はこっちで良いか、とそのように思い勝ちです。私もそう思ってクロスバイクを買いましたが、あとからロードバイクを買い足す羽目になりました。
 これはあるあるですね。

 先に書いたように、あれこれできる=中途半端 ということです。
 日常使いを考えても、クロスバイクには泥除けも前かごも馬蹄錠もありません。普段使いでは、ママチャリ、シティサイクルが圧倒的に便利です。サイクリングの場面でこそ、その軽量さを活かせます

 では、サイクリングの場面ではどうか。やはり、走りに特化したロードバイクにはかないません
 ちゃんとしたクロスバイクであれば、ロードバイクとそこまで劇的な差があるわけでは無いのですが、サイクリングを続けていくと、やはり、ロードバイクという存在が手の届くところにあれば、乗ってみたくなるものです。 趣味であればなおさらのこと。

 もちろん、クロスバイクをまず買い、サイクリングを趣味として続けられそうなら、ロードバイクを買い足して、その日の気分、行先によって使い分ける、あるいはクロスバイクを普段使いにする、という方法もありますが。

フレーム素材

 自転車のフレーム素材には様々なものがありますが、代表的なものは、アルミ、そしてカーボンです。
 この他、クロモリ鋼チタンと言ったものもあります。それぞれ愛用者もいらっしゃいますが、手に入りやすい、選びやすいのは、アルミかカーボンでしょう。そして、どちらにするか悩みます。
 ちなみに、アルミと言ってもフロントフォークなど一部はカーボンが使われていることがほとんどですので、躯体がすべてカーボンのものをフルカーボンと言ったりします。

 ザックリ言うと、お値段はアルミの方がお手頃、カーボンの方がお値段が張るという感じです。
 で、性能で言うと、カーボンはいろんな形に加工しやすいので、狙った性能を出しやすい、ということになります。高価なカーボンフレームはそれ相応に高性能と言えます。
 逆に言うとアルミとそんなに値段の変わらないカーボンは、性能的にも大きな違い感じられないかもしれません。

 結局は、素材云々より、お値段次第、と言うことになってしまいますが、いきなり何十万円も出せる人は、高性能なカーボンフレームを選ぶと良いでしょう。

 ただ、個人的には、最初はそこそこのオールラウンドなモデルを買って、自分がどんなことがしたいのか、レースなのか、ロングライドなのか、ヒルクライムなのか、見極めてから目的にふさわしい高価なモデルに手を出した方が良いと思います。

 本気の趣味でロードバイクを続けていくと、新しい自転車が欲しくなるものですし、自分の拘りも含めて、色んな事も分かって来ると思います。高価なモデルにするなら、その時でも良いかなと思います。

 ひとつだけ、カーボンの欠点は、1点に強い力をかけると割れることがあるということです。そこまで神経質になることはないと思いますが、尖ったところにぶつけたり、ボルトなどを締めすぎたりしないように、注意が必要ということは頭に入れておきましょう。

 あと、ちなみに、フルカーボンのクロスバイクというのもあるにはありますが、それなりに結構なお値段がしますし、普段使いにはできないでしょうから、どうしてもドロップハンドルは嫌だというような特別な人向けだと思います。

コンポーネント

 変速機やスプロケット(ギア)、ブレーキなど、走行に関係するパーツコンポーネントと言います。多くのロードバイクはシマノ製のものを使っていることが多いですし、無難だと思います。
 私自身は、他社製のものは使ったことはありませんが、シマノ製は信頼性が高く、安定していると思います。

 ただ、同じシマノ製でもランクがあり、上から、DURA-ACEURTEGRA105TiagraSORAClarisTourney とこれだけあります。
 ランクが上がるほど性能も上がり、お値段も上がります。

 一番分かりやすいのは変速関係で、ギアの枚数(いわゆる〇段変速)だったり、上位だと電動のものがあったりしますが、上位と下位とでは、変速の「キレ」が違います。変速したときにスパ、スパっと気持ちよく切り替わるかどうかということです。
 さほど重要でないように思われるかも知れませんが、ライドの後半で疲れてきたような時には、いちいち変速するのさえ億劫になることがあり、そんなとき変速が気持ちよく切り替わるかどうかはメンタル面で随分と違います。

 それだけでなく、ブレーキ性能なども含めると、できればTiagra以上のコンポーネントが付いている車種を選んだ方が良いとよく言われますが、私もそう思います。
 別にそれより下位のものがダメなわけでは無く、できれば、予算が許せばということです。

ディスクブレーキについて

 自転車のブレーキにはいくつか種類がありますが、ロードバイクでは、リムブレーキという(ホイールのリムにゴムを当ててブレーキをかける)昔からあるタイプか、ディスクブレーキ(ホイールに付いたローターをパッドで挟む)の2種です。

 いつの間にか、ロードバイクもディスクブレーキ、それも油圧式が主流になりました。
 各メーカーの上位モデルはほとんどが油圧ディスクです。

 ブレーキの性能で言えば、文句なく(油圧)ディスクブレーキが上です。
 制動力もさることながら、軽い力でブレーキをコントロールすることができます。
 ヒルクライムの長い下り坂でずっとブレーキをかけていると、リムブレーキだと握力が持たなくなって、本当に辛い(おまけに危険な)状態になります。

 ただし、油圧ディスクにもデメリットはあります。
 コスト(リムブレーキより複雑な分高くなります)、重量(これも重くなります。ロードバイクにおいて軽さは正義です)、に加えて、メンテナンス性が大きく変わります。

 リムブレーキは、やろうと思えば自分でメンテンナンスできますし、ちょっとおかしいなと思うときでも、取りあえず自分で何とかできますが、油圧ディスクはそうはいきません。定期的なオイルの交換もそうですし、具合が悪くなった時は、ロードバイクを扱うショップで見てもらう必要があります。

 あと、輪行(自転車を電車などに持ち込んで移動する)などでホイールを外した際に、ディスクローターをぶつけたり、汚したりしないように気を遣う必要があり、リムブレーキほど気軽には扱いにくい、ということもあります。

 とは言うものの、最初に書いたようにディスクブレーキ全盛の今、リムブレーキモデルを自由に選べるような状況ではありませんので、あれこれ言っても仕方ないのかも知れません。

 あと、ディスクブレーキには油圧式以外に機械式もありますが、ブレーキレバーを握ったときの力を油圧で伝えるか、ワイヤーで機械的に伝えるかの違いです。
 機械式ディスクブレーキを採用しているモデルはあまりなく、リムブレーキとディスクブレーキの欠点を併せ持った中途半端なものと感じていました。(引きがやや重く、油圧ディスクほどではないにしろ扱いが面倒)
 ただ、機械式ディスクでも、最近は引きが軽いモデルが出てきたようで、技術もこれから進化していくのかなぁと思っています。

選んではいけない車種

 具体的なメーカー、車名等には全く触れませんでしたが、ロードバイクは種類がありすぎますし、何が正解、不正解というものでもありません。是非、御自身の目で見て、悩んで下さい。

 ただし、選んではいけない車種があります。それは、ロードバイクもどき(ルック車とも言われます)です。見た目はロードバイクですが、フレームやパーツ、そもそも設計も、ロードバイクとしての性能を満たさないものです。思いっきりコストダウンしているせいか、非常に安い値段で売られています。(ちなみに、クロスバイクにも同じようなもどきの車種があります)

 ロードバイクは下位モデルでも自転車としてはかなり高額なので、ネット通販などで見て、「お、こんなに安いのがあるやん。最初はこれでええか。」などと思うかも知れませんが、いざ走ってみるとえらく重たかったり、また耐久性が無かったり、これをロードバイクと思って買うと後悔します。
 そんなものだと、分かって買う分には全然構わないのですけれど。

 値段がとても安いものは分かりやすいのですが、中には微妙なものもあって、はっきりした線引きは難しいのですが、スポーツバイク専門店においてあるメーカーの車種であれば、大丈夫です。
 見たことも聞いたこともないメーカーは良く調べるようにしましょう。

 あと、ロードバイクは毎年、毎年、その年のモデルを生産しますので、一つのモデルを大量に生産しておくということは一部の例外を除いて、あまりありません。つまり、生産分が売切れたらそのモデルは、それで終わり、ということです。
 ネットで調べて、これが良いなあと思っても、どこのショップに行っても売り切れ、なんてこともありますし、自分の欲しい色が売切れ、自分の体格にあったサイズだけが売切れ、なんてこともあります。

 そんなにあせって買うことも無いと思いますが、家電製品やPCなどとは随分と様子が違うということは理解しておいてください。

 記事が長くなってしまったので、今回はここまで。 続きは、次回購入編でよろしくお願いいたします。

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