以前の記事(中高年からの筋トレ)でも書いたように、筋力の維持・増進のためには、トレーニングとともに栄養補給も重要です。中でもタンパク質(アミノ酸)が大事です。(もちろんバランス第一ですが)
栄養補給は食事が中心になりますが、家族の中で自分だけ別メニューにするのも無理でしょうし、食事だけで十分な量のタンパク質を摂取するのはなかなか難しかったりします。糖質や脂質は意識しなくとも十分に足りてることが多いですが、タンパク質は特に中高年になってくると不足しがちです。これを補うのに役立つのがプロテインです。
これも以前の記事で書いたように、プロテインは原料からタンパク質を抽出した食品なので、変な薬の類ではありません。
今回は、どんな風にプロテインを選んでいるのか簡単にまとめましたので、参考になればと思います。
プロテイン製品は、製品の形態にも様々なもの(ドリンクやクッキータイプのものなど)がありますが、今回は水に溶かして飲む、「プロテインパウダー」を念頭にまとめました。
プロテインの種類
プロテインは、原料の違いによって分けられます。
大豆を原料とするものが「ソイプロテイン」、そして牛乳を原料とするのが「ホエイプロテイン」と「カゼインプロテイン」です。
「ホエイプロテイン」は製造方法によりさらに種類があります。
ソイプロテイン
大豆を原料とするプロテインです。
後にも書きますが、プロテインの中でも消化吸収が遅いため、筋トレ界隈ではあまりメジャーではありません。
逆に消化吸収が遅い、つまり腹持ちが良いので、ダイエット中のタンパク質補給に適していると言われたりします。
他のプロテインに比べ価格が安いのも長所です。
ホエイプロテイン
牛乳を原料とするプロテインで、乳タンパクのうちホエイ(乳清)を抽出したものです。ホエイは水溶性のタンパク質で、ヨーグルトをすくってしばらくすると固形の部分と上澄みのような液体の部分に分かれる思いますが、あの液体の部分と思ってもらえば良いです。
ホエイプロテインは消化吸収が早く、成分的にも筋肥大に効果的と言われ、筋トレ界隈では最もメジャーなプロテインです。
ホエイプロテインはさらに製造方法によって種類がありますが、代表的なものはWPCとWPIです。
WPC
製造方法の詳細はともかく、簡単に言うと、乳清中のタンパク質以外の成分も多く残ったプロテインです。
ビタミンやミネラルが多く含まれる点は長所ですが、「乳糖」という成分が多く残るので、人によってはお腹が緩くなる場合があります。
牛乳を飲んでお腹がゴロゴロするという人にはあまり向かないと言えるでしょう。
WPI
WPCよりもさらに精製度を高めたもので、タンパク質含有率が高く、「乳糖」がほとんど含まれていないので、WPCの欠点であるお腹が緩くなることもありません。
ただし、WPCよりも製造に手間がかかるため、お値段も高めです。
カゼインプロテイン
これも牛乳を原料としたプロテインですが、乳タンパクのうちのカゼインを抽出したものです。
先程のヨーグルトで言うと、固体の部分です。
ホエイが水溶性だったのに対して、こちらは不溶性で、消化吸収もゆっくりです。
このため、用途としては、ソイプロテインに似ています。
比較
いくつかの観点からこれらを比較してみましょう。
消化吸収
それぞれの紹介のところでも触れましたが、下のような感じです。
ホエイ(WPI)= ホエイ(WPC) > カゼイン = ソイ
トレーニングによって筋肉に刺激を与えると、筋肉の分解・合成がはじまり、トレーニング後の一定時間内(45分~2時間)にタンパク質を補給するのが効果的(この時間はゴールデンタイムと呼ばれます)と言うことから、筋トレ界隈では、消化吸収の早いホエイプロテインが主流になっています。
ただし、これには諸説あり、そもそもゴールデンタイムなるものは存在しない、やトレーニング後48時間は筋合成が高まっている、などいろいろな説があります。
また、ホエイとカゼインを混ぜて摂取するのが効果的であるという話もあります。
いずれにしても、このタイミングでタンパク質を採っておきたい、と狙いやすいのは消化吸収の早いホエイです。
ですが、中高年の健康づくりという観点では、さほど厳密に考えなくても良い気がします。一日の食生活の中で十分なタンパク質が取れていれば良く、足りない分をプロテインで補う感じで良いと思います。プロテインについては、他の要素を踏まえて選べば良いかと思います。
必須アミノ酸含有量
タンパク質はアミノ酸が合成されたものですが、人体に必要なアミノ酸は20種類と言われ、そのうち9種類は体内で合成できない、つまり外から取り入れないといけないものです。これを必須アミノ酸と呼びます。
この必須アミノ酸がバランスよく、十分な量含まれているプロテインが望ましい製品ということなり、この目安として「アミノ酸スコア」という指標があります。この指標が100%に近いものほど望ましいということになります。
なのですが、一般に売られているプロテインパウダーの表示を見れば、100%のものがほとんどです。ですから、この数値は一応確認しておくという程度で良いです。
さらに必須アミノ酸の中でも、BCAAと呼ばれる3つのアミノ酸(バリン・ロイシン・イソロイシン)は、筋力の維持・向上に重要と言われています。
そして、BCAAを多く含むのは、ホエイ > カゼイン ≧ ソイ です。
この面から言えば、筋力アップのためにはホエイプロテインが望ましい、ということになります。
ただし、これもどこまで厳密に考えるか、だと思いますが。
価格
価格は製品ごとにかなりバラツキがありますので、大まかな感覚でということになりますが、こんなイメージかと思います。
ホエイ(WPI)> ホエイ(WPC)≧ カゼイン > ソイ
味(飲みやすさ)、溶けやすさ
これも製品によって様々、また同じ製品でもロットによって違いがあったりします。
何より個人の感覚の問題なので、個人差が大きいと思いますので、その前提でお願いします。
また、カゼインは私自身は飲んだことがありませんので、すいません、お伝え出来ません。
ソイは、プレーンのものは、味は無味無臭に近いものが多いです。わずかに豆腐というか豆乳と言うかそんな味・匂いのするものもありますが、特に美味しいわけではありませんが、慣れれば全然普通に飲めます。
甘いフレーバー付きホエイに慣れた人には飲みずらいかも知れませんが。
ソイ、ホエイともに、プレーンのほかにバナナだったり、チョコだったり、様々なフレーバーを付けて飲みやすくしているものがありますが、ソイの場合は、特にフレーバー付きのものを選ぶ必要もないと個人的には思います。
ただ、中には、ソイのプレーンでもこれは無理、という何とも言えない味のものがあったりして、たまにハズレを引きこともあることはあります。(仕方なく何かを混ぜて我慢して飲みます)
逆に、ホエイはプレーンだとわずかな牛乳の匂いが鼻について、そのまま飲むのはつらいです。
プレーンのものにココアパウダー(100%のもの)か何かを混ぜるか、最初からフレーバーの付いたものを選ぶかです。
ただし、フレーバー付きのものは人工甘味料が含まれているものが多いです。
人工甘味料についての考え方も色々ありますが、少なくとも味として甘すぎるように思います。
水に混ぜた時の溶けやすさは、これもまちまちですし、ロットによっても変わってきます。
ホエイよりもソイの方が溶けやすいという話も聞きますが、一概にそうとも言い切れません。ソイでも本当に溶けずに泡ばかり立つものもあれば、ホエイでもさっと溶けるものもありますし、その逆もあります。
どのように選ぶか
基本は一日の食生活で不足するタンパク質をプロテインで補う、ということで良いかと思います。
その上で、いわゆる「ゴールデンタイム」などのトレーニングとプロテイン摂取のタイミングを気にするならば、ホエイプロテン、その中でも牛乳でお腹が緩くなるならWPI、そうでないならWPC、ということで良いかと思います。
私の場合ですが、
毎日のタンパク質を補う意味で、毎朝、朝食と一緒にソイプロテインを飲んでいます。
トレーニングの後には、シャワーを浴びてから、ホエイプロテインを飲んでいます。私は牛乳でお腹がゴロゴロなることはありませんので、WPCにしています。こんな感じです。
特にゴールデンタイムをそこまで気にしているわけではありませんが、トレーニング後には喉が渇くのでプロテインを飲む、毎朝ソイを飲んでいるので、トレーニング後にはホエイに、くらいの感覚です。
ちなみに、よく言われる、筋トレをやっている場合のタンパク質摂取量の目安、体重×2倍(g)ということについても、「そんなに必要ない、1.4倍で十分」という説もあるようです。
これも大会に出るわけでもないので、厳密に考えなくても、大体で良い気がします。そもそも食事で何グラムのタンパク質を採っているかなんて、大体しか分かりませんし。
以上、少しでも参考になれば幸いです。
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